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パッシブデザイン⑤ 日射熱利用暖房

2021-10-22

お日さまは最高の暖房器具!! それもタダ(笑

パッシブデザイン最後の項目、日射熱利用暖房です。
5つの項目の中である意味一番奥が深いかもしれません。考え方は、冬に日射熱を室内に取り込み暖房として利用する技術です。
電気・ガスは要りません。 ただ建築地域、場所によっては難しい場合があります。(冬の日射量が期待できない地域、周囲を高層ビルに囲まれて日当たりが絶望的な場所…)

ポイントは【集熱】【断熱】【蓄熱】

日射熱利用暖房は大きく分けると
【集熱】日射の入る南向きの窓を大きく取る
【断熱】入った日射熱を外に逃がさない。
【蓄熱】入った日射熱を蓄える。 以上の3つがポイントとなります。
日射量の多い地域で、この3つが高いレベルで実現できればほとんど暖房なしで生活できるレベルにすることも可能になります。

【集熱】のポイント

まずは南向きに窓を大きく取り、しっかり集熱します。
ただ窓は壁に比べ断熱性能が低いので大きくしすぎると【断熱】に影響してしまいます。
9~16時の間に6時間以上日射を受ける窓面積の合計が(LDK+空間的につながっている部屋)の面積の20%が目安と言われています。
窓が真南に向いていることが前提です。実はこれ結構難しいんです。
野中の一軒家ならいいのですがそういう立地はなかなか巡り合えません。
これをクリアするには建築地の周囲環境を考慮した日照シミュレーションが必須です。

 

【断熱】のポイント

せっかく集熱した熱を逃さぬよう【断熱】が重要です。
重要性はパッシブデザイン①で説明していますが、窓に関しては集熱と断熱を両立しなければなりませんので選択が難しい…
結露や輻射熱(壁面から感じる熱)も関連しますのシェードやカーテンの利用を駆使しながらベストな環境を考えます。

【蓄熱】のポイント

適度な蓄熱量を有した部屋は室温の上昇下降を穏やかにする効果を発揮します。
つまり日中に集熱した熱を温度の下がった夜に持ち越すことができます。
木造建築物はコンクリート建築物に比べ蓄熱能力が低いのでそれを上げる工夫が必要です。
日射を受ける床をタイル張りコンクリートにしたり、キッチンの腰壁をコンクリートブロックで作ったりします。
ただやりすぎると日中の暖かさを損ねてしまうので、微妙なさじ加減が必要です。これについてもシミュレーションが必要になります。
下のグラフは同じ家で蓄熱体のあるなしでどれくらい室温が違うかを表したグラフです。
真冬の朝6時に無暖房で15℃以上あることが快適の目安になります。

じゃああなたはどうするべきか

【日射熱利用暖房】は冬の快適性、暖房費節約に大きく影響します
。高度な知識・技術によるバランスの取れた設計が必要ですのでしっかり工務店に相談しましょう。

 


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